オリエンタル/ロリータ℃。
この部屋は空気が動かないから
こんなにも澱んでいるのだろう
弦をはじけば音が零れた
あたしはその中を 泳ぐように
『まるで夢みたいだろう』
貴方がくちずさむ英語の歌に
泣きたいだなんて思わない
甘い香りのお香が鼻腔を揺らして
煙草の煙があたしの視界を掠めているから
こんなに美しい景色をぼやかすんてもったいないよ
艶やかな色彩は確かにあたしの世界なの
長いスカートは複雑で美しい色をしている
けれど貴方だけが白黒に映り
枯れ果てた遺跡のように湿度が無いの
こんなに現実味が無いのだから
遠慮は要らない
最後に本当のお顔を見せてみて
泣きじゃくって歪んだ醜い顔までも
愛してるってあたしはどうせ思うのだろう
その髪の毛にあたしの香りは
どのくらいの大きさで潜んでいるのか
例えそれが微かでも
甘く薄い永遠みたいに付き纏うならそれでも善い
呪いみたいで美しいでしょう
(ゆめみたいよ)
そこにいるのに触れられなくて
まるで夢のせかいのように
あたしは哀しいと呟いた
戻る 編 削 Point(0)