「湧き上がる想い」/広川 孝治
湧き上がる想いに溺れそうになる
言葉にならない混沌の中に輝きを探す
ルノーの車やドンペリのボトル
ニューモデルのスキー板や君の笑顔
そんなものをずっとかき分け
一番奥底に沈んでいたのは
何のことはない
書きかけの一片の詩
タイトルはまだない
その中には
すっかり忘れていた
自分の夢があった
行間からこんこんと湧き上がる想いは
表層の欲望と混ざり合い
言葉にならない混沌となる
鈍く光る初心な夢よ
時が過ぎても心揺さぶるのか
湧き上がる清らかな想いよ
欲望としがらみの濁りを消して
澄み切った言葉となれ
人生の終局に完成したこの詩には
どんなタイトルがつくのだろう
そのタイトルはこの詩をして
美しくきらめく一片の傑作とするだろうか
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