冬鴉/木立 悟
 



名を忘れ鴉にもらう夜明けかな



戸惑えど戸惑えどただつづく道



灰と種そのどちらにもなれぬ我



けだものに寄り添いて笑む夜風かな



終わりへの雪道一歩踏み迷う



頬に触れはばたきを呑む夜の窓



雪雲に羽を置いては歩き出す



おまえなら何を捨て去る冬鴉









戻る   Point(9)