れんげノスタルジア/さくらほ
 
やわらかにゆれる春
少し冷たい足の裏に
わくわくが止まらない

見渡すれんげ畑の向こうを
単線の汽車がゆく
わたしの知らないどこかとどこかが
つながっている

小さな花がわっかのように
まんまる笑顔で
少し小首を曲げて咲いている
髪に挿したら
悲しい事が一つ飛んでいく

寝っころがると
青空とれんげ畑とわたしが溶け合って
わたしも自然の仲間入り
ああ 沁みる
空ってこんなに近いのね
空って両手を広げると抱っこできるような気がするのね

どこかで歌うリコーダー
わたしも一緒に口ずさみ
れんげを摘んで首飾り
春はゆらゆらたちのぼり
あの山にももうすぐ届く
広がってゆく

ねえ
わたし
きっとその広がる春の中で
生まれた

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