*掟破り*/知風
ん
おまけに噂じゃ故郷の親元に
目玉の飛び出るほどの財産
彼めがけて突進してくる
日ごろの節操を忘れた姫たちを
球遊びで鍛えた足でひらりかわし
ただ愛するサマンサの背中を目指す
ところがひとつ忘れてた
薔薇姫たちは顔が見えるけど
獣の役は毛布すっぽり
おかげで誰が誰やら見当もつかない
ぐずぐずしてればふたりとも
むざむざ違う誰かの腕の中
だけどエィディー どうしても
サマンサがどれだかわからない
エィディーはまだかしらと
心配げにサマンサが振り返ると
鼻息荒い薔薇姫たちに四方を囲まれ
今にも泣き出しそうなエィディーの姿
いてもたって
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