あのね、本当はね/なつ
ひとりきりの道がこわいの。
夜、さみしいと泣くたましいの声
漏れ聞こえないようにはりめぐらせた
はんとうめいの金網
あまえたいさみしさが引っかかって
ときどき血を流す((誰にも見えない。))
あのね、本当はね
会いたいときに飛んでいけない
針金みたいに、のろわれた身体が(現実。)
だいきらいでたまらないの。
夜、携帯電話がぎんいろ
着信もないのにひとりでにふるえて
いつまでも視界にちかちかする
呼びさまされたくて待っているの?
かなしいくらい似ているよね、
((あの日の記憶、と笑ってごまかす))
さいきんのはなし。
「すこしだけじゆうに書く
それはこわれることと似ている」
だって誰かに心配してほしいんだ
ずるいとは思うけど、
ひとりきりの夜が耐えられないの。
と、つぶやいてみたりする
だいじょうぶ もう遠くに行ってしまってよ
わたしの器官が夜ごと
苦しむくらいのこと わざとだから。
((心配してほしいなんてうそだよ。わたしは元気だよ。))
あのね、本当はね
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