La cité des enfants perdus/Utakata
 







ときどき
夢を見る
宛先のない手紙が 今朝も玄関先で雨に濡れていた
拾い上げることなんてせずに
生温く灰色の空を見上げると
隣にいるプラスチツク製の幽霊が
不機嫌な錠剤を噛み砕く音が聞こえる

ときどき話をする
耳奥に詰めたスポンジが
それぞれの話を聞いてくれと懇願する
僕はただただ相槌を打ちながら
誰にも届かない話を舌に載せる

「19のとき
 友達が踏み切りで轢かれて死んだ
 彼は開かずの踏み切りの棒を押し上げて真ん中まで進むと
 立ち止まり
 (新宿行きの急行列車が 当たり前のように走ってきていた)
 立ち止まっている人々のほ
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