ビーム・ビーム・ビーム/田島オスカー
 
しね、大好きだったのよ、
あなたのことじゃないわ、ここのね、

彼女の揺らぐ視線の先は
僕の手の内に入ろうとしなかったけれど


このソファから、カーテン越しに見る、
真っ赤な夕陽がね、あたし大好きだったのよ、

今日彼女はまっすぐに
昔煙草で焦がしたカーテンの隅を見て


もう、見られないのね、
今日も綺麗に真っ赤なのに、もう。


直線のビームがその瞳から放たれあと三秒で
西日に染まるカーテンが焼き切れる

 
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