もう昔のこと/ぽえむ君
 
もう昔のこと
ある国があった
その国の人々は
自分が良いと認めたものしか作らなかった
自分が気に入らないものは作っても全て壊した
自分が良いと認めたものしか使わなかった
自分が気に入らないものは全て見向きもしなかった

作っても使わず
使うものを作らず
その国はいつも
過剰でありながら不足が続いた
何よりも貧困だった

ある日
その国の若者たちが隣の国に行った
若者たちにとって
一つも良いと認めるものは作っていなかった
一つも良いと認めるものを使っていなかった

けれども隣の国は
必要なものを作り
必要なものを使っていた
隣の国はいつも
過剰もなく不足もなかった
何よりも豊かだった

それでも若者たちは
自分の国の文化と文明を信じた
そして若者たちはあるものを作った

それは他の国を侵略するための
武器だった
そしてそれは
その国の誰もが良いと認めて作った
その国の誰もが良いと認めて使った

もう昔のこと
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