レトルトカレー/オズ
 
話の向こう側の男はこたえる

「当たりです」

「それは、当たりの袋です。ちょっと多めに入ってるでしょう?」

ちょっと?

「おめでとうございます!」

電話はプツンと切れた


カレーはとうとう腰まで達して 私の脚はもう動けない

窓の外を サラリーマンが通り過ぎる

テレビは今日のニュースを伝える

夕暮れ時 アパートの一室で

私がこうして 黄色い海に沈んでいく事を誰も知らない

誰 一人として



戻る   Point(5)