【鉄塔の歌】/つむじまがり
 
午前6時13分
白み始めた朝の空に
くっきり はっきり しっかりと
鉄塔が立っている

その美しい曲線で鉄塔同士手を取り合い
どんな歌を歌うのか
どんな踊りを踊るのか
どんな愛をささやくのか
僕らは鉄塔の歌を聞くことが出来る

午前6時35分
鉄塔の もっとも輝ける時間は終わった
もはや どんな歌も歌わず
どんな踊りも踊らない
隣の鉄塔とは連帯責任という名の鎖で繋がれてしまった
僕らは鉄塔の歌を聴くことが出来ない

明日の朝まで鉄塔は鉄塔と言う名の鉄の仮面をかぶり
詩人は詩人と言う名の顔を隠し
雀は無邪気に歌い始める

白み始めた朝の空に
くっきり はっきり しっかりと
詩人が立っている














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