最終メトロ/りぃ
 
足を踏み入れたら其処は夜の繁華街みたいだ
真夜中の地下鉄、暗闇に溶けてく車両
所々ポツポツとある灯りの一つ一つが
異世界に迷い込んだような錯覚を呼び起こす

(まわったアルコールのせいではないね)

静かな空間、機械音も心なし落ち着いている
くたびれた人の群れが一斉に降りてゆく
終着駅の存在が億劫になるほど
この空間は満たされている

(それでも帰る場所はここじゃないよ)

車掌さんの白い手袋と握手して
僕はゆっくりと現実に戻り
明日の目覚めを知らぬまま、暗闇に溶けた。

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