冬業/木立 悟
 




雪原の風たぐり舞う銀髪にあるはずもない笑みを見ていた




くりかえし光の行方追いつづけ雪の背骨を駆けてゆく子ら




道に棲む静寂(しじま)に映る水の笑み夜の片目にそそがれてゆく




抱きつかれその冷たさに動けずにただ打ち寄せる髪を見ていた




闇のなか置き去りにされた鏡には置き去りの手がかがやいており




夜に融けふたたび凍る水の笑み空の濁りを閉じこめたまま




うなるもの空をゆくもの名を降らせ積もりそびえて崩れ去る名を




うた遠く笑み遠い道たたずめば頬つたいゆく冬の花びら







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