「歌」/広川 孝治
 
すれた声でとぎれとぎれの歌
私の歌を聞いてくれる人は
一体どれくらいいるのだろう
私の声はどこまで届いてゆくのだろう

積み重ねた年月を無視され
幼児のように扱われる今
私の歌を聞いてくれる人は
一体どれくらいいるのだろう
私の声はどこまで届いてゆくのだろう

それでも私は歌い続ける
かすれた声で
潰れた喉を震わせて
歌い続ける限り
私は生きている

私は今でも人間なのだ
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