あかるい岸辺/佐々宝砂
こんなにもあかるい岸辺で
こんなにも頭がずきずきするのは
いったいどうしてなのでしょう
山々に溶け残る雪は
(誰にも踏みこめないところにあるので)
あくまでも白く輝いて
その鋭い白さは
幅広のナイフのように私の目を裂きます
雪のうえには
土に還りそこねた去年の落葉が見慣れぬ文字を描き
私はそれを読みとろうとして
辞書を持っていないことに気づきます
通り過ぎる人の顔にはモザイクがかかっているし
太陽の光は堅固な城塞みたいにわたしをとりかこむのです
私はこのあかるい岸辺に立って
きらきらする雪と川を見ています
夏が来ればこの凍りついた
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