実録新宿 腐肉のナブラ/人間
上 ”鈍器を奉呈すれば何でも手に入る”
耳を剥製にして、ゼラチンで流れる歌舞伎町を、笹舟に乗って下る。
笑顔のうねり、スキンシップの渦、枯葉は醗酵して流木は勃起する。
酒と煙草と調理油と体液が混和された運河の底で、
都生雑食動物の群は”餌食、求愛、交流”による肉塊のナブラを元手に、恒星の蚤になる。
無数の浮き足によっては地面は一度も叩かれず、
両手で数え終わる程度の足音が、若年性痴呆症プラッタナスに骨伝道で告発する。
さくら通りはベーコンで高楊枝刺しまくり針ネズミ、
それはご存知、片目の無い赤達磨に象徴される。
ネギマ一串八十円、喘息のポン引き、尻風船のルンペン
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