水の世界/Haruka Ojiro
空飛ぶ譲り葉に、
安全ピンをとめて、
無性にフォーカスはぐらついたまま、
爪を研ぐ野ばらと、
利口ぶった砂嵐へ、
いつだって繕いをほどこすマーチングバンド!
どこまで青色なのか僕にはわからないあのタペストリー、観客は見るままの色で描き足していく。
無神経にばらまいた副旋律が勝手に地団駄踏んでいる、サンダルの子供が水玉を降らしながら笑い転げている。
どこからともなく、
そうなんだと答えた、
肌の色の違うネズミやカエル、
曖昧な返事で終始した、
視野の広すぎた、
このはるかな水の世界の、
一介の音楽家。
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