ぽぽんた/りん
 
 わたげのぽぽんたと 出会いました

ふわふわの 温かみのある その 白いわたげは
まるで 孫を大事に抱える 老女にへと
生まれかわっていました
 
手をのばせば すぐ届いてしまうほどの近距離
いじの悪いわたしは びゅーっと荒風をかけて 
彼女の全てを 破壊させてしまおうと 思いました

しかし ワタシには出来ませんでした


それから 5年後


もう あの雑木林で 
2度と あのぽぽんたと 会うことはありませんでした
彼女の 居場所が 奪われてしまったのです

平地になった灰色のコンクリートの駐車場を眺めながら
わたしは思いました

「ぽぽんたに 荒風 吹きかけてやりたかったなぁ」と


わたしの隣を
黄色いニット帽をかぶった 3歳ぐらいの男の子が
お腹が空いたと 大声で叫びながら
母親の元へと 駆けて行きました
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