丸の内ジャングル/九谷夏紀
きっと君にも見える
大都会のジャングルはいっそううつくしい
友人たちは
私のジャングル好きを
いつの間にか知っていた
私より先に知っていた
他人とはなんと不思議なものだろう
そ知らぬ顔で私の本質をあっさり見抜き
そしてそれを知っているくせに、しらーっと黙っているのだ
愛する友よ
それはそうと
今回入り込んだこのジャングルとは
相当長い付き合いで
ここを彷徨い始めてから
もう5,6年は経っているはずだ
ジャングルは時を忘れる
良いことでもあるが
その経過年月を実感したときには
喪失感が一気に襲う
遥かに
ゆらゆら
ひややかに
熱を帯びて
今の私がそうだ
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