猪の火之吉の命の道のり/人間
泣き喚く蜜柑の皮に雪布団
広島県倉橋島南部に生まれた猪の火之吉 産着は葉っぱの山桜 子守唄は鶯の声
父の血筋は気高き武士 獅子の如き意志には鬼気すら漂う高貴 仰々しい野生児
山の主として鳴らす為 生まれ持った牙と機知 燃える命と名付けられた火之吉
知恵熱の神楽鈴振る嬰児(さくらご)哉
鈴のように生る大長(おうちょう)みかんを一日20個も貪り
豊富なビタミンCにより体調も毛並みも良好
美しく野山を駆け巡る韋駄天の四肢は空を裂き
蹄の爪先で引っ掻いた沢山の石が縄張りの印
蜘蛛の巣の様な獣道の全ては火之吉ひとりのもの
種火尽き半身浴で漕ぐ泥舟
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