お母さんの魂/ajisai
 
「僕のお母さん」

そういう題名で作文を書くようにいわれた

でも、僕にはお母さんがいない

死神さんがお母さんを連れて行ってしまったから



お母さんは病気で死んじゃったんだ

僕はすごくすごく哀しかった

もっともっと一緒にいたかった

でももういないんだ、仕方がないよね



僕は母さんが死んだ日

病院で母さんの側で一人で泣いてた

その時ふわりと黒い羽が落ちてきて

僕の涙は吸い取られちゃった

死神さんは泣いてた

僕の代わりに



お母さんの魂は綺麗に浄化されて

いつか近くに来てくれる

天国からの見守りという形でね

月の瞳の死神さんはそういった

月光が眩しい夜

よく死神さんの言葉を思い出すんだ



「いつもお母さんは側にいるんだよ

 君はひとりなんかじゃないよ」



僕は独りで生きているんじゃない

だから作文も書けた

お母さんはいつも側にいますって


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