れいうとわたし/こしごえ
 
いにしえに
雨を知らず
土へかえった種子がおったそうな

(わたしも
白くうずくまって
 音にぬれわたる
群衆は聞えないのか通りすぎるばかりで
とうめいな闇がひろがる))

「おはよう」
朝はつづいている
うずくまっていた影が
つめたい雨音に澄んでいったきのう
すーっと透きとおっているささめき
今日こそは
わたし
(聞える?) 空へわらおう









※「れいう」=「冷雨」「霊雨」「零雨」「零有(※造語)」




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