れいうとわたし/こしごえ
 
ある朝に、新宿駅東口で待っている

(白くうずくまっている 無音の質量を
回転している(絶叫をとおりこした)声が
雨 のおくへと響いていく

来るのかしら
(いつ?)
遠くはるか遠く
眠っていた素粒子が
無表情にささやくの
けれど
傘をもつ手は冷たくなってしまっている
帰ろうか
しかしどこへ
うちは空っぽ
傘から宙ぶらりんで
真夏に泳いでいた鮮やかな色彩は
あの林で立枯れている
冬へ静まる過程

立ち尽すのにはつかれてしまった
それでも ふたたび歩きはじめるために
すこしのあいだでも
待つことが
出来ることに感謝する姿で
うずくまるわ

いに
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