真夜中の刺繍/ロリータ℃。
在しているような
そんな錯覚すら抱きます
黒い裾からこぼれる太腿は
自分でさえ淫靡に思える
是は喪服と同じ意味合い
私たちは互いを殺しあうように
牙を磨く
気づかれないためならば
気づかない振りも厭わない
『声』
日に何度かその声を思い出します
すこしおぼろげですが
そうでもしないと忘れてゆきそうで怖いのです
怖いものがなくなることも怖いですし
何よりその声が
私の体を震わせるだけで私は多分幸福なのです
『祝福』
どうぞ静かにしてみてね
白いスカートが靡いてるんだ
赤いおめめは夢をみるんだ
モーツァルトを聞きながら
草原を思い浮かべ
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