月を詠むひと/Rin K
 



あなたはためすように
月を詠むのです
椿の花が落ちる夜に
闇から色を分かてるのか
ためすように
あなたは月を詠むのです

くれなゐは
いつぞの契り
くれなゐは
今わにみせる
いのちのあかし

あざやかなままに
なお恨むのですか
凍れるままに
なお悔いるのですか

片方のてのひらで
すくえる大きさに
椿はとけて
この身体を流れ出す
うつろに鳴るは
めぐるだけの虚しさ
ただここでひとり
あなたの詠む
月と聴くのです

椿の花が落ちる夜に
あなたはためすように
月を詠むのです
わたしを―――





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