手/こん
 
  (母に手を引かれて歩いていた幼い「私」は
   母になにかを言いたかった でも
   母の耳ははるかうえにあり
   声が届かない気がして
   またうつむいて 光るアスファルトを見ていた
   おかっぱが揺れていたんだろう、
   母が手を ぎゅっと握った)

       *

   夕飯の買い物に行く途中
   君が手をつないでくる
   やわらかくしめった
   もちもちの手で


   うつむいて道を調べながら歩く
   君の ぼんのくぼを見て思う
   未来を


   何年かすると この手は
   さらさらと冷たい
   少年の手に変
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