「言葉の通った跡」/広川 孝治
 
もしも言葉の通った道が見えるなら
どんな風なんだろう

くもの巣のように四方八方に広がってゆくのかな
それに引っかかりもがく人々

細く鋭くきりのように真っ直ぐ伸びてゆくのかな
刺し通され血を流す心

それとも片側三車線の国道のように
立ち並ぶ木々も山も崩して進んでゆくのかな
押しつぶされ喘ぐ者たち

できることなら
湖のほとりの花に縁取られた小径のように
安らぎといやしを与えるもの
例えば恋人と喧嘩してやるせなくなった時に散歩したくなるような

できることなら
山の中にある獣道のように
細々と続くもの
例えば迷った登山者に希望と導きを与えるような

そんな道筋をつけるものであって欲しい

そんな言葉を発することができるような人間になりたい
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