暗い夜/A.おじや
月があまり高くに上ってしまって
僕らを照らしてくれないので
24時間営業のコンビニやら
ひっきりなしに通る自動車のヘッドライトやら
消し忘れられた風情の街路灯やら
そういうもので夜を過ごしている
闇に耐えられない僕らは
もぞもぞと寝床から起きだしては
夜のもとに向かうのだけど
話すのは足元の影とばかり
月を通じて想いを伝え合った
遠い昔の恋人たちの記憶をたどって
ケータイ電話をかけてみるけれど
電話口に出たのも足元の影
(むなしく時の流れていく音)
24時間営業のコンビニを
自動車のヘッドライトが照らしている
消し忘れた風情の街路灯の下で
僕と影は二人寂しく抱き合っている
月があまりに遠く上ってしまったので
夜は長く伸びながら
冷たく濡れて
沈みこむ
僕と影は二人
寂しく抱き合っている
戻る 編 削 Point(4)