泪で光が滲む前に/けんご
 
あなたの幸いを思う
あなたの幸いを思う
空虚な夜に 空虚なため息が
指輪の上に

あなたの幸いを思う
あなたの幸いを思う
あなたの髪を撫でるために
列車にとび乗った記憶を胸に

あなたの幸いを思う
あなたの幸いを思う
不死鳥の真似をして
ベッドの上でさえずるあなた

あなたと話さない夜はなかった
あなたの声を夜毎聞いた
あなたと手を繋いで歩いた
あなたは澄まして街を案内した

あなたの幸いを思う
あなたの幸いを思う
あなたの後姿が
街の雑踏に紛れ込む頃

時には思い出して欲しいと願いながら
あなたの笑顔と泪を
今宵再び
記憶に刻む

そして泪で光が滲む前に
別れの言葉を言いましょう

風よ
吹くなら吹け
私をさらって
地の果てまで





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