冬の夢かたり/銀猫
 

こぐまの尾、
ちかり、ちか、り

天空いっぱい夜は溢れて
地上で凍った吐息は
瞬く銀に吸い込まれる

星灯りの舗道に
靴音を響かせ
きみの声を思い出すと
辿る道程は冬の密度が融けて
爪先から凍みてくる一月が
戸惑いながら
春へと幕を進める

  いつも遠くにいて
  愛と無縁な
  きみの気配は
  少しも熱くならない

ぬくもりを連れてくるのは
きみでなく
記憶の欠けら

恋の名残は凍えて
すっかり白くなっている

いつかの声だけが
不思議の扉を叩き
冬の隙間を探して
春が零れる

蒼い闇夜の夢語り
ゆめ、かたり



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