こころの色/ふぁんバーバー
こどものころ
よく聞かれました
大きくなったらなんになりたい?
わたしはいつでも
お菓子屋さんと答えたけれど
ほんとうは
ちがうの
わたしは
大きくなっても
なんにもなりたくなかったの
なんにもなりたくなんかないわ
そう言ったらきっと
なんだか
困った子のように思われるから
お菓子屋さんだなんて
あまい答えを用意していただけ
大きくなっても
お菓子屋さんになったわけでもなく
仕事についても
したい仕事というわけでもない
なんにもなりたくなかったわたしは
やっぱり
なんにもなれずにわたしでいるので
これでいいんだ
わたしがなりたいのは
なんにもならないわたし
こころの色を
決めないで
生きていこうって
そう決めた
朝の鏡を見つめて
うすい化粧をほどこし
ただいちどだけ
うなずくだけ
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