燃え尽きた上履き/しめじ
薄命の子鹿が食べ残した枯葉なんか君食べられないよとぬかす紳士をちくわで撲殺した帰り道。ヘチマを百葉箱にお供えして満足げにため池に入水した姉の背中には薄黒いアザがあった。冠雪を記録した菩提樹の真下で逆立ちしながら濡れた草履をさんざんに食らっては、真っ赤な欠伸を空に飛ばして羊雲を引き連れる盲人の棒きれになりたいと小学校の文集に書いたら文科省からお偉い人がやってきて四角い箱の中に小鳥を放り込んだのだった。そしてずんだ餅ばかりがもてはやされる時代に給食センターは一面焦土と化し、ぞうきんが飛ぶように売れるなると、ネズミはグラッパをがぶ飲みしなければ生きていけなくなるのだ。コールタールとカシスを混ぜた合法ドラッグは尿意を誘発させるだけで、白い肌の女との性行にすら快感が及ばないので神棚に祀ってある帝釈天のお札を細かく刻んで目薬に溶かし、彼女のグラスにそっと注ぎ込む。ついには上靴工場までもが焦土と化した中で、ちくわをさんざんに食べされるのだ。彼女に。雪に。カラスに。
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