アザレア/フユキヱリカ
女子校育ちは気がつよくて
と、眉を顰(ひそめ)る父の
たしなめる手にエスコートされ
日曜はショッピングに行く
青白いガラス窓の
温室に咲く花でさえ
その身を愛らしく
あざとく子種を残すのだから
月とふたつの星を胸に抱いた
母が
太陽であったように
それは自立の為よ、と
得意げに笑った
教会へ続く並木道を
紺色のコートに
いろとりどりの少女たちが
柔らかな頬と
ひざ小僧を朱くしながら
ミニスカートの裾を
ひらひらさせて
擦れ違って行く
白い襟の純潔は
吐息のように
あなたとこの路を通った時も
三十まで独身だったらもらってやるから
と、
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