幸/yoshi
 


スカートの柄を

白っぽく浮き上がらせたり

消したりしている

明日の予定とか

今日の仕事の事とか

お互いに少しづつ

違う事を考えながら

時おりDJの話に相槌をうつ

心地のいい時間はなぜこんなにも

静かなんだろう

静かで、悲しくて、幸福だ

いっそこのままずっと夜が続いて

この新しい道路もずっとずっと延びていて

果てしなくこのドライブを続ける事が出来たら

なんて考えが一瞬だけ頭をよぎる


窓の外に少し手のひらを出してみる

雨粒がひとつ、ふたつと落ちてくる

冷たくてやわらかい秋の雨だ


さっきからハンドルを握っていない左腕を

離そうとしない私に

静かにやさしくあなたは言う

「コーヒーでも飲もうか」


幸福に溺れたいと

私の頭の中の私が叫ぶ

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