幸/yoshi
が
スカートの柄を
白っぽく浮き上がらせたり
消したりしている
明日の予定とか
今日の仕事の事とか
お互いに少しづつ
違う事を考えながら
時おりDJの話に相槌をうつ
心地のいい時間はなぜこんなにも
静かなんだろう
静かで、悲しくて、幸福だ
いっそこのままずっと夜が続いて
この新しい道路もずっとずっと延びていて
果てしなくこのドライブを続ける事が出来たら
なんて考えが一瞬だけ頭をよぎる
窓の外に少し手のひらを出してみる
雨粒がひとつ、ふたつと落ちてくる
冷たくてやわらかい秋の雨だ
さっきからハンドルを握っていない左腕を
離そうとしない私に
静かにやさしくあなたは言う
「コーヒーでも飲もうか」
幸福に溺れたいと
私の頭の中の私が叫ぶ
戻る 編 削 Point(2)