今様習作 朱夏の恋/
佐々宝砂
夜に投げたる我が声は
君に届くと思はれず
夜に唄ひし我が声は
夜に砕けて散るがよし
朱夏の恋路の急坂を
上り下りも覚え得ず
ただひたぶるに足掻きをり
ただ愚かにも足掻きをり
君は時折文を書く
甘きことのは甘きうた
我に届かぬその声は
いづこの空に響くらむ
浅き春には思はざる
夜ごと閃く雷鳴を
君に見せむと文を書く
君が眠りは浅からむ
君が眠りは浅からむ
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