今様習作 きさらぎの/
佐々宝砂
春は名のみのきさらぎの
未だ温まぬせせらぎの
橋のたもとの裸木の
わづかに赤き冬芽かな
春は春とてきさらぎの
未だ冷たき春の風
襟立て歩く川筋に
ちらほら青く下萌ゆる
我の窓辺にきさらぎの
白き霜あり頑なに
夜明けまぢかの暗闇に
ひゆいと流るる星ひとつ
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