一人のこどく/一絵
「あなたあなたあなたあなたあなた
貴方貴方貴方貴方貴方貴方」
みんなうるさい
黙れ
一人ぼっちしか知らないにんげんは
どうすればいい
愛する感覚は強烈に知ってる
でも愛される感覚は微塵も知らない
「あなたあなたあなたあなたあなた
貴方貴方貴方貴方貴方貴方」
貴方なんて言葉を多用する音楽なんて
死んじゃえばいいのに
耳障りだ
ノイズなんてそんな甘美なもんじゃない
クソだ
スーパーマーケットにいても喫茶店にいても
どこにいても聞えてくる
クソが聞えてくる感覚だ
悔しいとかそんな単純な感覚じゃないんだ
心の中は爪で引っ掻いた跡だらけで
血でいっぱい滲んでいる
筋肉の筋一つ一つが震えて手のひらは開かない
唇は噛み切って形が見えない
俯いて上を見られない
愛する感覚は強烈に知ってる
でも愛される感覚は微塵も知らない
かける言葉も
かけられる言葉も
知らないんだ
戻る 編 削 Point(6)