/渡邉建志
 
 
遺書には?と書かれている。青い線で。大きく。
遺書とはなにか自分の人生をまとめるものだったはずだ。
君の人生は空白だったのか。
君のえがいた?の相似形を頭の中にたくさん思い浮かべ、
僕の空に泳がせる。君の人生。
子供がおもちゃで遊ぶように。
目を閉じると不思議な音を立てて、
中空の?が音を立てる。
目を開けると目の前は青くぼんやりして、
?の足音が聞こえてくる。
たぶんドアをあけると?の君がいて
僕をみて笑う。
「自分が死ぬと思った瞬間からね
と君は言う
「僕は無になって解放されて自然の一パーツになったような気がする
「そんなとおいところに行ってしまったのかい
「海の匂い
 美しいところだ
 砂浜が白くて
 海と空の青い
 砂浜でワルツを踊っている人たちがいる
 それがはるか下に見えて

やがて君は遠いところへ飛んでいき
僕の手元には青い遺書が淡く光っている 
 
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