鳩/
青色銀河団
ガラス瓶のなかの
北風に乗って
飛んでいく一羽の鳩
おまえは
空に引かれた
ひとすじの水脈
かぼそき涙の痕跡
花のようにふるえる声
おまえは
幼年時代
滴りこぼれゆくはずだった
おそれ
いのり
うた
淋しい指のまま迎えた朝
美しいあきらめが
洗面器の海原で
きらめく
青い落陽は沈まない
空はけっして美しいのではない
ただ美しい空があるだけなのだ
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