水没した世界/yukimura
世界はすでに水没していて
君の名を呼んで駆け寄る時も
僕の口から無数の気泡が空へ昇る
この環境に不慣れな僕は
まだ少しだけ息苦しい
澄み渡る空の半分がメタファーになってしまった
誰かの創作物を勝手に再構成した僕は
純粋な世界を既に逸していて
君だけはリアルであって欲しい
僕とは別の人であって欲しい
君という夕暮れが僕の部屋へと既に侵入していて
色鮮やかな4次元を形成している
だけどまだ君との間には
もっと手前にあるかもしれない、境界線を感じている
その位置に感じているのは
僕の警戒心のせいかもしれない
単なる、心の弱さを示すバロメーターかもしれない
或いは
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