ちぎれ飛んでゆく/大覚アキラ
 
ちぎれ飛んでゆく

ちぎれ飛んでゆく
それぞれの痛みを

誰もがみな
語りうる限りの言葉を使って
それぞれがぶっ放しあう

あらゆる方法を試みたところで
結局は
痛みを分かち合うことなど
できるはずはない

だから
ただひたすらに
ぶっ放しあう

空っぽになるまで
この痛みが
この痛みのすべてが
あなたに届くまで
ぶっ放し続ける

ぶっ放す痛みが
ぶっ放す言葉が
ちぎれ飛んでゆく悲しみ

違う

絶対に違う

ちぎれ飛んでゆくのは
悲しみではない

あれは
痛みのかたちだ
かたちになった痛みだ

悲しみ
なんてものは
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