【 拳 】/豊嶋祐匠
 














手の平に握った

マッチ箱と

東京ドームの広さの違いを

理解できない、アイツは



親に叱られ

なお

それを理解するために

泣きながら、生きている








怒りに任せた、この拳に

いつも、いつも

理屈をつけたがる、俺たちは



何ひとつ

受け入れず

努力もせずに、生きている







何も





何ひとつも






何処まで生きても






たった一度も。













戻る   Point(1)