同盟/ならぢゅん(矮猫亭)
寒い夜のことだ。
男はコートのポケットの中でこぶしを握りガッツポーズを作った。小さく、しかし強く。自分だけの、ささやかな勝利を確認しているかのようだった。手のひらに四つの爪跡ができた。うっすらと血がにじんでいた。
見上げると薄赤い三日月が冷えきった夜空に浮かんでいる。五つ目の爪跡のように。
男は満足げに歩き出した。ひと気のない夜道を。
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超短篇(Sudden Fiction あるいは Micro Story)の試みです。このまま永久に「詩ならざるもの」に終るかもしれません。
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