恋文 〜Tom Waits を聞きながら〜 /
服部 剛
パソコンが
空っぽの箱に見えてしまったら
部屋の明かりを消して
Tom Waits の「GRAPEFRUIT MOON」を流そう
グラスに入れたぶどう酒を喉(のど)に流せば
果て無き真白い画面はやがて夜となり
黄色い月が浮かぶだろう
夜風に詩(うた)う巨木の下で
独り立つ美しい女(ひと)が
こちらに瞳を向ける瞬間を
頬を赤らめ待っている
酔いどれの弾き語るピアノと
嗄(しゃが)れた唄声を聞きながら
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