森に生きる少女/
杉菜 晃
森の出入りは
神秘のベールに包まれてゐて
だれがその中に入つたかなど
識別できるものではない
少女が森に吸はれてゆく
光と闇の二極が
あまりにも霊妙に
相和してゐる扉を押し開き
少女はそれつきり戻らなかつた
出奔は都会にのみ限定して噂され
一人として
森を捜さうとしたものはない
しかしかの日から鳥の声はけたたましく
森は鼓動し内圧は高まつてゐる
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