蜜柑色の試食肉/あおば
 
騒いでいるときに聞こえる歌声は
なんだか知らないメロディーは
ボートの中の水あかの貯まり水
捨てられるために汲みとられ
完全無欠のお殿様に捧げられ
走り出すのは蜜柑色したキリギリス
私たちのかけがいのない試食肉を咥えてる
イカレタ男の靴音に紛れて拗ねる歌声に
夏の花火のドカンと弾ける音に試食肉
目玉を売り出すキノコ達
埃のないキノコの行列要りませんかと
ドカンという音投げつける無理難題のお殿様
ぱちぱち爆ぜる花火の星に挽肉を和えて
ハンバーグの焼ける音に溶けて弾ける穀潰し
咥えたタバコの蜜柑色した煙の子供たち
空に高く這い上がりぱちぱち火の粉をまぶす
弾ける弾丸、溶けるバターのハンバーグ
焼き肉、揚げ肉、混ざり肉の繁殖模様
尖った視線に反り返る肉食獣の試食肉
蜜柑色した試食肉の無理難題を聞き逃す

長い手紙を書き終わる
二つ目小僧の土曜日に
汚れた食肉埋めたぞ
冬になったら掘り起こし
蜜柑色した食肉の埃を
顕微鏡のように味わうと
自信たっぷりに書き終わる。
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