(e)/ふるる
 
夕暮れ近くまで二人は水浴びをしていた浮かび上がる黒い影と真っ赤に染まりながら滴り落ちる水。
水を浴びるたびに鳥肌がたったけど嫌な感じではなかった外は生暖かくて夕焼けは燃えるように真っ赤。お父さんが雌鳥を殺したことを覚えている。雌鳥は抱きかかえられてとても大人しかった一言も鳴かずに大人しく横たわったくるりと細い首をねじられた首が。無駄のない慣れた手つきで。雌鳥は激しく鳴いた首を切られる時暴れさせて血を抜くんだ、とお父さんは言いました暴れさせて血を。私は一生懸命書き取りの練習をしていたけれどどうしても「e」の字が逆さになってしまうの。にいさんは私の手を取って辛抱強く教えてくれました、逆さでない「e」
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