パートナーの夏休み/あおば
 


回転する物体を斧でぶった切る
春が来て
芽が出て
斧の柄からも春が来て
小野小町をぶった切る

パートナーの夏休み
退屈する会社員が
機関車に乗り込む
風来坊の顔をした
顔のない男達が
変電所を爆破して
SLを走らせるから
記念写真を撮すのだと
線路際に三脚を立てて
カメラを構え
録音機をセットする
爆発する音も録音できたかと
パートナーの夏休みは
自転車に乗って
窓の下を徘徊する
機関車は
煙を吐いて
橋のない河を渡ってゆく
そんなことはみんな嘘だよ
幻想だよと承知の上で
核武装地帯を走ってゆく

SLが走る時代は終わったのに
戦争はいつまで経っても
終わらない
悲しみは売り尽くすことも出来ないのに


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