ノート(叫ぶ日)/木立 悟
 

叫ぶ日がある
消えては現れるこの手の
痛みのない痛みに
叫ぶ日がある



叫ぶ日がある
空の半分を砕く雪に
曇を落とすことをやめた風に
叫ぶ日がある



叫ぶ日がある
ちぎれた赤い花束の前で
表情も無く座り込むひとを
ただ見つめつづける鳥たちに
叫ぶ日がある



叫ぶ日がある
背中を伝う見えない頬ずりに
腕を焼いてゆく見えない炎に
いつかこの手をとるものの行方に
叫ぶ日がある




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