文字が失うもの。/えりおん
 

時々、半年に一度くらい、文字が判らなくなる時がある(時期があった)。
この日本語というものが、意味のない記号のように見えるんだ。

例えば、『あ』という文字。
可笑しくないか?
線が、三本、妙な形に曲がりくねって、絡み合って、
可笑しくないか?
何、この黒い細い線?
得体の知れない、ものじゃない?

紙から、飛び出すかもしれない。
動き出すかもしれない。
トコトコこっちに歩いてきて、「やあっ」って、言うかもしれない。

そうしたら、僕は何て挨拶しよう?
こんなに毎日会っているのに、「初めまして」じゃあ失礼だろうし…

迷っているうちに、『あ』くんは、
(どう
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